たばこの値上げの歴史と税金の仕組み|いつ・いくら上がったかを年表で整理

たばこの値上げの歴史と税金の仕組み|いつ・いくら上がったかを年表で整理

「昔は1箱300円くらいだったのに、今は580円もする」。たばこの値段の話になると、こうした声をよく聞きます。実際に、代表的な銘柄の価格は30年ほどで2倍以上になりました。値上げのほとんどは、たばこにかかる税金の引き上げがきっかけです。この記事では、たばこの価格がいつ・いくらになったのかを年表にまとめ、あわせて1箱の中にどれだけの税金が入っているのか、その税金が何に使われているのかを整理します。

対象読者:たばこがなぜこれほど値上がりしたのかを知りたい人。たばこにかかる税金の仕組みや、これからの増税の予定を確認したい人。

たばこの価格の推移

代表的な銘柄の価格の年表

価格の目安として、国内で長く売れているメビウス(2013年まではマイルドセブン)の1箱20本入りの価格を並べます。

時期 1箱の価格 上がった額 主な理由
1997年4月 230円 +10円 消費税の引き上げ(3%→5%)
1998年12月 250円 +20円 たばこ特別税の新設(1本0.82円)
2003年7月 270円 +20円 たばこ税の引き上げ(1本1円)
2006年7月 300円 +30円 たばこ税の引き上げ(1本約0.85円)
2010年10月 410円 +110円 たばこ税の大幅な引き上げ(1本3.5円)
2014年4月 430円 +20円 消費税の引き上げ(5%→8%)
2016年4月 440円 +10円 メーカー(JT)の価格改定
2018年10月 480円 +40円 たばこ税の引き上げ(1本1円、3段階の1回目)
2019年10月 490円 +10円 消費税の引き上げ(8%→10%)
2020年10月 540円 +50円 たばこ税の引き上げ(1本1円、2回目)
2021年10月 580円 +40円 たばこ税の引き上げ(1本1円、3回目)

2021年10月から2026年10月の時点まで、紙巻たばこのメビウスは580円のままです。1997年の230円と比べると、約2.5倍になりました。

年表から分かること

年表を見ると、値上げのほとんどが「たばこ税」か「消費税」の引き上げと同じ時期です。たばこの価格は、メーカーが財務大臣の認可を受けて決める仕組みになっていて、税金が上がるときに、その分を価格に上乗せする形で値上げされてきました。

ただし、増税分だけが上がったわけではありません。たとえば2010年は、増税は1本3.5円(1箱70円)でしたが、価格は110円上がりました。2020年も、増税は1箱20円に対して価格は50円上がっています。増税のタイミングで、原材料費や物流費などの値上がり分をメーカーがあわせて反映させたためです。

2010年の値上げが大きかった理由

一度に110円上がった2010年の値上げは、それまでで最も大きなものでした。このときの引き上げは、税収を増やすことに加えて、「国民の健康のために、たばこの消費を抑える」ことが目的として示されました。これ以降、たばこの増税は、財源の確保と健康対策の両方を理由に行われることが多くなっています。

たばこにかかる税金の仕組み

4種類のたばこ税と消費税

たばこには、消費税のほかに、たばこだけにかかる税金が4種類あります。紙巻たばこの場合、本数に応じて税額が決まります(2026年10月時点の税率)。

税金の種類 納める先 1,000本あたり 1箱20本あたり
国たばこ税 国 6,802円 136.04円
たばこ特別税 国 820円 16.40円
道府県たばこ税 都道府県 1,070円 21.40円
市町村たばこ税 市区町村 6,552円 131.04円
合計 15,244円 304.88円

たばこ税は「1箱いくら」ではなく「1本いくら」で決まっているため、銘柄の価格が違っても、同じ本数なら同じ額がかかります。安い銘柄ほど、価格の中の税金の割合が大きくなります。

1箱580円のうち税金はいくらか

1箱580円のメビウスで計算すると、内訳は次のようになります。

内訳 金額 価格に占める割合
たばこ税(4種類の合計) 304.88円 約52.6%
消費税(10%) 約52.73円 約9.1%
税金の合計 約357.61円 約61.7%
税金を除いた額(メーカー・販売店の取り分など) 約222.39円 約38.3%

1箱のうち、およそ6割が税金です。なお、消費税はたばこ税を含んだ価格にかかるため、「税金に税金がかかっている」と言われることもあります。

世界保健機関(WHO)は、たばこの価格に占める税金の割合を75%以上にすることをすすめています。日本の約62%は、ヨーロッパの多くの国と比べると低めの水準です。

税金は何に使われているか

たばこ税は、毎年国と地方をあわせて2兆円前後の税収があり、使い道によって次のように分かれます。

  • 国たばこ税:国の一般的な財源として、さまざまな予算に使われます
  • たばこ特別税:1998年に、旧国鉄(日本国有鉄道)と国有林野事業から国が引き継いだ借金を返すために作られた税金です。今もその返済に充てられています
  • 道府県たばこ税・市町村たばこ税:自治体の一般的な財源になります

地方のたばこ税は、たばこが売られた店のある自治体に入ります。役所や商店街で「たばこは地元で買いましょう」というポスターを見かけるのは、このためです。地方の税金だけで1箱150円以上になるので、自治体にとっては小さくない財源です。

加熱式たばこの税金

紙巻たばこに合わせて段階的に上がってきた

加熱式たばこは、登場したころは紙巻たばこより税金が軽く設定されていました。そのため、2018年10月から2022年10月にかけて5回に分けて税金が引き上げられ、紙巻たばこに近い水準になりました。

2026年の課税方式の見直し

加熱式たばこの税金は、葉たばこの重さなどを「紙巻たばこ何本分か」に換算して決めます。2026年に、この換算のしかたが見直されました。

  • 2026年4月:見直しの1段階目。多くの加熱式たばこで、1箱20〜50円ほどの値上げがありました
  • 2026年10月:見直しの2段階目。新しい換算方法に完全に切り替わり、加熱式たばこだけが再び値上げされました

新しい方法では、製品に使われている葉たばこなどの重さをもとに本数を換算します。軽い製品でも、紙巻たばこより税金が極端に安くならないよう、最低限の本数が決められています。

これからの増税の予定

2027年4月から3段階の引き上げ

防衛力の強化に必要な財源にあてるため、2027年から国たばこ税が3段階で引き上げられることが決まっています。紙巻たばこも加熱式たばこも対象です。

時期 国たばこ税(1,000本あたり) 1本あたりの増税 1箱20本の増税(累計)
現在 6,802円 ― ―
2027年4月 7,302円 +0.5円 +10円
2028年4月 7,802円 +0.5円 +20円
2029年4月 8,302円 +0.5円 +30円

税額は1箱あたり10円ずつ増え、消費税を含めると1回あたり約11円の負担増になります。実際の店頭価格がいくらになるかは、各メーカーが認可を受けて決めるため、増税の前に発表されます。これまでの例のように、増税分より大きく値上げされる銘柄が出る可能性もあります。

注意点

  • 価格は銘柄ごとに違います。この記事の年表は、メビウスのレギュラー品の価格です
  • 税率や予定は、この記事を書いた2026年10月時点のものです。最新の内容は、財務省やたばこメーカーの発表で確認してください

まとめ

  • 代表的な銘柄の価格は、1997年の230円から2021年の580円まで、約2.5倍になりました
  • 値上げのほとんどは、たばこ税か消費税の引き上げと同じ時期に行われています。増税分に加えて、メーカーが値上げ分を上乗せした年もあります
  • たばこには4種類のたばこ税と消費税がかかり、1箱580円のうち約358円(約6割)が税金です
  • たばこ税は国と地方で同じ額(1,000本あたり7,622円ずつ)を分け合い、地方の分は売られた店のある自治体に入ります
  • 加熱式たばこは2026年に課税方式が見直され、2027年4月からは紙巻・加熱式とも、3年かけて1本1.5円の増税が予定されています

アイキャッチ画像:Image by ReneSchulze1984 from Pixabay