小規模事業者持続化補助金(第20回)を個人のハンドメイド作家・小さな店が使うには

小規模事業者持続化補助金(第20回)を個人のハンドメイド作家・小さな店が使うには

小規模事業者持続化補助金〈一般型 通常枠〉の第20回の申請受付が、2026年11月5日から始まります。販路を広げる取り組み(ネットショップ、展示会への出展、新しい商品やパッケージの開発など)にかかった費用の一部を、国が補助してくれる制度です。

この記事では、個人で活動するハンドメイド作家や小さなお店が使う場合に知っておきたい対象・もらえる額・申請の流れ・締切・注意点を、事務局が公開している公募要領(第8版、2026年7月21日版)をもとにまとめます。内容は2026年10月31日時点のものです。申請する前に、必ず事務局のサイトで最新の公募要領を確認してください。

対象読者:ハンドメイド作品の販売や小さなお店を個人事業主として営んでいて、販路を広げるための費用に補助金を使いたい人。

1. 対象になるか確かめる

個人事業主でも申請できる

補助の対象は「小規模事業者」です。法人だけでなく、商工業を営む個人事業主も対象になります。小規模事業者かどうかは、業種ごとの「常時使用する従業員の数」で決まります。

業種 常時使用する従業員の数
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く) 5人以下
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 20人以下
製造業その他 20人以下

作品を作って売るハンドメイド作家は製造業、仕入れた商品を売るお店は商業に当たることが多いはずです。業種がどちらでも、1人や家族だけで営んでいるなら従業員の数の条件は満たします。同居の親族の従業員と役員は、数に含めません。

申請する日までに開業していること

申請する日に、すでに事業を始めている必要があります。開業届を出していても、届に書いた開業日が申請する日より後なら対象外です。これから開業する人は、この補助金には申請できません(創業向けの〈創業型〉は別の制度で、同時には申請できません)。

対象にならない人

医師・歯科医師・助産師、一般社団法人、任意団体などは対象外です。また、過去に持続化補助金で採択されて補助事業をした人は、事業が終わってから1年後の報告(事業効果等状況報告)を出し終えていないと申請できません。

2. もらえる額を計算する

補助率は3分の2、上限は50万円

補助金の額は「補助の対象になる経費 × 3分の2」で、上限は50万円です。

区分 補助の上限
通常 50万円
インボイス特例に当てはまる 100万円(50万円の上乗せ)
賃金引上げ特例に当てはまる 200万円(150万円の上乗せ)
両方の特例に当てはまる 250万円(200万円の上乗せ)

たとえば経費が60万円なら補助は40万円です。経費が75万円を超えると、補助は上限の50万円になります。補助金は後払いなので、まず全額を自分で支払う必要があります。

インボイス特例は個人作家も当てはまりやすい

2021年9月30日から2023年9月30日を含む課税期間に一度でも免税事業者だった人(または2023年10月1日以降に開業した人)が、補助事業が終わるまでに適格請求書発行事業者(インボイス)の登録を受ければ、上限が50万円上乗せされます。

ただし、特例を希望したのに補助事業の終わりに要件を満たしていないと、上乗せ分だけでなく補助金の全部がもらえなくなります。また、過去にインボイス特例(インボイス枠)で補助を受けた人は使えません。

賃金引上げ特例は、従業員の1人あたりの給与を年平均3.0%以上増やすことが要件です。従業員のいない作家には当てはまりません。

消費税の扱い

課税事業者は、消費税を除いた額で経費を計算します。免税事業者・簡易課税の事業者・2割特例を使う事業者は、消費税を含めた額で申請できます。

3. 補助の対象になる経費を選ぶ

対象になる経費は、次の8つに限られます。

経費 ハンドメイド作家・小さな店での例
機械装置等費 新しい商品を作るための機械(特殊印刷プリンター、3Dプリンターなど)、ショーケース
広報費 チラシ・カタログ、SNS広告、インターネット広告
ウェブサイト関連費 ネットショップの制作・更新、商品写真や動画の制作
展示会等出展費 販路を広げるための展示会・商談会への出展料、関連する運搬費
旅費 展示会場への交通費・宿泊費(計画に書いたものだけ)
新商品開発費 試作品の原材料、新しいパッケージのデザイン
借料 PRイベントの会場代、機器のレンタル料
委託・外注費 店舗の改装工事など、自分でできない仕事の外注

広報費とウェブサイト関連費には上限がある

広報費とウェブサイト関連費は、それぞれ補助金の額で30万円(税込)が上限です。また、この2つだけでは申請できず、必ずほかの経費と一緒に申請します。「ネットショップだけ作りたい」という使い方はできません。

対象にならない経費

小さな商いで計上しがちですが、対象にならない経費の例です。

  • パソコン・タブレット・事務用プリンター・Webカメラ・モニターなど、ほかの用途にも使える機器
  • 販売する商品の材料の仕入れ、そのまま売る試作品
  • 梱包材・OPP袋・段ボール・名刺・文房具などの消耗品
  • ネットショップやクレジットカードの決済手数料、クラウドファンディングの手数料
  • 販売だけが目的で販路を広げることにつながらない出展、審査会(〇〇賞)への応募費用
  • 個人やネットオークションからの購入、3親等以内の親族への発注
  • セミナーの受講料、本の購入費、通信費

新商品開発費は、テストマーケティングや市場調査の内容と結果を、計画書か実績報告書に書くことが条件です。書いていないと対象外になります。

4. 申請の流れと締切

日程

項目 日付
申請受付の開始 2026年11月5日(木)
事業支援計画書(様式4)の発行受付の締切 2026年12月4日(金)
申請受付の締切 2026年12月15日(火)17:00
採択発表 2027年3月ごろ(予定)
補助事業を行える期間 交付決定の日から2028年3月31日(金)まで
見積書等の提出期限 2028年2月29日(火)
実績報告書の提出期限 2028年4月10日(月)(事業が早く終わったら、終わった日から30日以内)

気をつけたいのは、申請の締切より11日早い12月4日です。この日を過ぎると、商工会・商工会議所に事業支援計画書を出してもらえず、どんな理由があっても申請できません。

手順

1. GビズIDプライムのアカウントを取る(数週間かかる。暫定のアカウントは使えない)
2. 自分の地域が「商工会」と「商工会議所」のどちらの地区かを調べる(問い合わせ先と事務局が違う)
3. 電子申請システムに経営計画と補助事業計画を入力する
4. 地域の商工会・商工会議所に事業支援計画書(様式4)の発行を頼む(12月4日まで)
5. 必要な書類を添付して、電子申請システムで申請する(12月15日 17:00まで。郵送は不可)
6. 採択されたら、すべての経費の見積書を出す
7. 交付決定の通知を受けてから、発注・購入・支払いをする
8. 事業が終わったら、実績報告書と経理の書類を出す
9. 補助金の額が確定してから請求し、補助金が振り込まれる
10. 事業が終わって1年後に、事業効果等状況報告を出す

個人事業主が申請時に添付する主な書類は、直近の確定申告書(第一表・第二表と、収支内訳書または青色申告決算書)です。開業してまだ一度も確定申告をしていない場合は、開業日の書かれた開業届と、売上があることがわかる売上台帳を出します。マイナンバーが写っている書類は、番号を黒く塗りつぶします。

計画書で見られるところ

審査は書類だけで行われ、計画の内容に点数が付けられます。見られるのは、自社の強み・弱みを把握しているか、ねらう顧客や市場のニーズをとらえているか、売上と売上総利益が増える根拠があるか、経費がその計画に必要なものか、といった点です。デジタル技術をうまく使う取り組みも評価されます。

「どの客層に、何を、どう売るために、この経費を使うのか」を、数字を交えて書けるようにしておくとよいでしょう。

5. 注意点

交付決定の前に買ったものは対象外

採択の通知だけでは、まだ事業を始められません。交付決定の通知に書かれた日より前に発注・契約・支払いをした経費は、すべて補助の対象外です。採択発表から交付決定までは、1〜2か月かかることがあります。展示会だけは交付決定の前に申し込んでもかまいませんが、請求書の発行日は交付決定の日以降でなければなりません。

支払い方に決まりがある

  • 支払いは銀行振込が原則。1回の取引が10万円(税抜き)を超えるときは、現金で払えない
  • クレジットカードは事業者本人の名義のものを使い、引き落としが補助事業の期間内に終わっていること(分割払いやリボ払いも同じ)
  • 発注額が1件50万円(税込)を超えるときは、2者以上から見積もりを取る
  • 中古品は、金額にかかわらず2者以上の中古品販売業者から見積もりを取る

ネットで買ったものや広告も、注文した日・請求額・広告の画面などがわかる書類を残せないと対象外になります。注文する前に、どの書類を残せるかを確かめておきます。

あとの手間と税金

  • 単価50万円(税抜き)以上の機械や、50万円以上で作ったウェブサイトなどは、一定の期間(ウェブサイトは通常5年)、勝手に売ったり捨てたりできない
  • 帳簿や証拠の書類は、事業が終わった年度の終わりから5年間保存する
  • 受け取った補助金は収入として扱われ、所得税の対象になる
  • 第20回で採択されて補助事業をした人は、事業が終わったあと約2年は次の申請ができない

申請代行や不審な連絡に気をつける

計画書づくりを外部の業者に手伝ってもらうことはできますが、その相手と支払った金額を申請時に書く必要があります。書かずにいると、虚偽の報告として不採択や交付決定の取り消しになります。

申請に使うGビズIDのアカウントとパスワードを、他人に教えることも禁止されています。事務局は、補助金を個別に紹介したり勧めたりしないとしています。事務局を名乗る電話やメールには注意してください。

まとめ

  • 個人のハンドメイド作家や小さなお店も、申請する日までに開業していれば対象になる
  • 補助は経費の3分の2で上限50万円。インボイス特例に当てはまれば上限100万円
  • 広報費とウェブサイト関連費は、それぞれ補助金30万円までで、この2つだけでは申請できない
  • 締切は申請が2026年12月15日 17:00、商工会・商工会議所の事業支援計画書が12月4日。GビズIDプライムには数週間かかるので、早めに取る
  • 交付決定の前に買ったものは対象外。補助金は後払いなので、いったん全額を立て替える

まずはGビズIDプライムの申し込みと、地域の商工会・商工会議所への相談から始めるのがおすすめです。

参考:商工会議所地区 小規模事業者持続化補助金〈一般型 通常枠〉・商工会地区 小規模事業者持続化補助金〈一般型 通常枠〉

アイキャッチ画像:Image by wal_172619 from Pixabay