窓の結露はなぜ起きるか|露点の計算と、効く対策・効かない対策
冬の朝、窓ガラスがびっしょり濡れていて、サッシの下に水がたまっている。拭いても翌朝にはまた同じ、という家は多いと思います。結露は「冷たい窓」と「湿った空気」がそろうと起きる現象で、仕組みは中学校の理科で習う露点で説明できます。この記事では、露点の考え方と計算の目安を押さえたうえで、よく言われる対策がなぜ効くのか(あるいは効きにくいのか)を整理します。
対象読者:窓の結露に毎冬悩んでいる人。対策をいろいろ試す前に、仕組みを知っておきたい人。
結露が起きる仕組み
空気が持てる水蒸気の量には上限がある
空気は目に見えない水蒸気を含んでいます。ただし、空気が含むことのできる水蒸気の量には上限(飽和水蒸気量)があり、その上限は温度が低いほど小さくなります。
| 気温 | 空気1m³が含める水蒸気の上限(目安) |
|---|---|
| 20℃ | 約17.3g |
| 12℃ | 約10.7g |
| 10℃ | 約9.4g |
| 0℃ | 約4.9g |
数値は、気温から飽和水蒸気圧を求める一般的な近似式(テテンスの式)で計算した目安です。
たとえば20℃の空気が上限の60%の水蒸気を含んでいるとき(相対湿度60%)、水蒸気の量は1m³あたり約10.4gです。この空気が冷やされて12℃くらいになると、上限の約10.7gとほぼ同じになり、それ以上冷えると、持ちきれなくなった水蒸気が水滴になります。この「水滴ができ始める温度」が露点です。
窓の表面が露点より冷たいと結露する
部屋の空気そのものは20℃でも、窓ガラスの表面は外の冷たさが伝わって低い温度になっています。窓に触れた空気だけが冷やされ、露点を下回ったところで水滴がガラスに付きます。これが窓の結露です。
北海道立総合研究機構 林産試験場の技術相談の記事でも、「結露は、窓の表面温度が室内の温度・湿度で決まる露点温度と呼ばれる温度より下がると発生します」と説明されています。つまり、結露が起きるかどうかは次の3つで決まります。
- 部屋の温度と湿度(露点が何℃になるか)
- 外の気温
- 窓の断熱性能(外の冷たさがどれだけ窓の表面に伝わるか)
露点の目安を計算する
室温・湿度ごとの露点
部屋の温度と湿度から、露点を計算した目安です。
| 室温 | 湿度40% | 湿度50% | 湿度60% | 湿度70% |
|---|---|---|---|---|
| 18℃ | 約4.2℃ | 約7.4℃ | 約10.1℃ | 約12.5℃ |
| 20℃ | 約6.0℃ | 約9.3℃ | 約12.0℃ | 約14.4℃ |
| 22℃ | 約7.8℃ | 約11.1℃ | 約13.9℃ | 約16.3℃ |
室温20℃・湿度60%なら露点は約12℃です。窓の表面が12℃を下回ると結露します。湿度を50%に下げると露点は約9.3℃、40%なら約6.0℃まで下がり、窓がかなり冷えるまで結露しなくなります。
表を横に見ると分かるとおり、露点を決めるのは「空気が含んでいる水蒸気の量」です。エアコンで部屋を暖めるだけなら水蒸気の量は変わらないので、露点も変わりません(湿度の%が下がるだけです)。暖房をつけて結露が増えたと感じるときは、加湿器や、燃料を燃やす暖房、洗濯物などで水蒸気が増えていることが多いです。
窓の性能でどれだけ変わるか
窓の表面温度は、林産試験場の記事にある次の式で見積もれます。
窓の表面温度 = 室温 −(室温 − 外気温)× 窓の熱貫流率 ÷ 室内側の熱伝達率
熱貫流率は「窓がどれだけ熱を通しやすいか」を表す数字(単位は W/㎡K)で、小さいほど断熱性が高い窓です。室内側の熱伝達率は、同じ記事で使われている8.7 W/㎡Kとします。
室温20℃・湿度60%(露点約12℃)の部屋で、窓の表面がちょうど12℃になる外気温を計算すると、次のようになります。
| 窓の種類 | 窓の熱貫流率 | 結露し始める外気温の目安 |
|---|---|---|
| アルミのサッシ+単板ガラス | 6.51 | 約9.3℃ |
| アルミのサッシ+複層ガラス | 4.65 | 約5.0℃ |
| アルミと樹脂の複合サッシ+Low-E複層ガラス | 2.33 | 約−9.9℃ |
| 樹脂のサッシ+ガス入りLow-E複層ガラス | 1.90 | 約−16.6℃ |
窓の熱貫流率は、経済産業省の審議会(建築材料等判断基準ワーキンググループ)で板硝子協会が示した「窓仕様別の省エネシミュレーション結果」の「窓の熱貫流率Uw」の値です(サッシを含めた窓全体の値)。林産試験場の記事の計算例(熱貫流率2.33の窓で−10℃以下)とも合います。窓の表面温度がどこも同じという、計算を簡単にした目安です。
アルミのサッシに単板ガラスの窓では、外が9℃くらいでもう結露する計算です。冬の朝の外気温は多くの地域でこれより低いので、古い単板ガラスの窓が毎朝濡れるのは、使い方の問題というより窓の性能の問題だと分かります。
窓の枠やすみが先に濡れる理由
林産試験場の記事によると、実際の窓は場所によって表面温度が違い、ガラスの外周部が他の部分より低い温度になります。複層ガラスの外周に入っているスペーサー(ガラスの間をあける部材)にアルミなど熱を伝えやすい素材が使われていると、そこが冷えやすくなるためです。同じ記事では、木材は熱を伝えにくく、木製のサッシは結露に対して非常に有利だとも書かれています。
一般に、アルミのサッシは熱を伝えやすいので冷えやすく、ガラスより先に枠が濡れることがあります。
対策が効く理由
結露を減らすには、「露点を下げる(水蒸気を減らす)」か「窓の表面温度を上げる」のどちらかしかありません。よく言われる対策を、この2つに分けて見てみます。
水蒸気を減らす対策
| 対策 | なぜ効くか |
|---|---|
| 換気をする | 湿った室内の空気を、水蒸気の少ない外の空気と入れ替える |
| 洗濯物の部屋干しを減らす | 大きな水蒸気の発生源を減らす |
| 調理・入浴のあとに換気扇を回す | 発生した水蒸気が部屋に広がる前に外へ出す |
| 加湿器を使いすぎない | 湿度を上げるほど露点が上がる |
| 除湿機を使う | 空気中の水蒸気を直接取り除く |
北海道立総合研究機構 建築研究本部の資料(応急仮設住宅の暮らし方の案内)では、人の体や洗濯・入浴などで、4人家族では1日に10L程度の水分が室内に出るとされています。冬は外の空気が冷たく、含んでいる水蒸気の量がもともと少ないため、短い時間でも換気の効果は大きくなります。
一方で、乾燥しすぎもよくありません。東京都の「健康・快適居住環境の指針」では、湿度の目安を40〜60%としています。上の表のとおり、湿度を40〜50%に保つだけでも露点はかなり下がります。湿度計を1つ置いて、数字を見ながら加湿・換気を調整するのが確実です。
窓の表面温度を上げる対策
| 対策 | なぜ効くか |
|---|---|
| 内窓(二重窓)を付ける | 窓と窓の間の空気の層で、室内側の窓が冷えにくくなる |
| 複層ガラス・Low-Eガラスに替える | ガラスの熱貫流率が下がり、表面温度が上がる |
| 樹脂や木のサッシにする | アルミより熱を伝えにくい |
| カーテンを窓にぴったり付けすぎない | 部屋の暖かい空気が窓に届くようにする |
| 家具を壁や窓から少し離す | 裏側に空気が回り、表面が冷えすぎない |
カーテンは一見、窓を暖かく保ってくれそうですが、カーテンと窓の間は部屋の暖かい空気が届かない「冷えた空間」になります。そこに室内の湿った空気が少しずつ入り込むと、カーテンの裏の窓がかえって濡れやすくなります。家具の裏の壁が結露してカビが出るのも同じ理由です。
効きにくい対策と注意点
結露防止シート・スプレー
窓に貼るシートや、吹き付けるスプレーは手軽ですが、「結露そのものを止める」ものではないことが多いです。シートは窓の表面を少し暖かく保つ効果があるものの、単板ガラスのように窓の性能が低い場合は、シートの表面で結露することがあります。スプレーは水滴を目立たない膜にして流れ落ちにくくするもので、水蒸気の量は変わりません。
また、ガラスの種類(網入りガラスや複層ガラスなど)によっては、シートを貼ることで「熱割れ」(ガラスの中の温度差でひびが入ること)が起きやすくなるといわれています。貼る前に、製品の説明で使えるガラスかどうかを確かめてください。
ストーブの種類にも注意する
石油ストーブやガスファンヒーターなど、室内で燃料を燃やす暖房は、燃えるときに水蒸気を出します。エアコンの暖房は燃料を燃やさないので水蒸気は出しません。開放型の燃焼式暖房を使う部屋で結露が多い場合は、換気を増やすのが先です(一酸化炭素の点でも、燃焼式暖房の換気は欠かせません)。
拭き取りは「対策」ではなく「後始末」
出てしまった水滴を拭くのは大切ですが、それだけでは翌日もまた結露します。放っておくとカビやサッシのパッキンの劣化の原因になるので、拭き取りと並行して、上の「水蒸気を減らす」「表面温度を上げる」のどちらかに手を打つのが近道です。
まとめ
- 結露は、窓の表面温度が部屋の空気の露点より低くなると起きます
- 室温20℃・湿度60%なら露点は約12℃。湿度を50%に下げると約9.3℃、40%なら約6.0℃まで下がります
- アルミのサッシと単板ガラスの窓(熱貫流率6.51)は、上の部屋の条件なら外気温が9℃くらいでも結露する計算で、窓の性能の影響がとても大きいです
- 対策は「水蒸気を減らす(換気・部屋干しを減らす・除湿)」か「窓の表面を暖かくする(内窓・複層ガラス・カーテンや家具の位置)」の2つに分けて考えると選びやすくなります
- 結露防止シートやスプレーは、水蒸気の量を変えないため、根本の対策にはなりにくいです
参考にしたページ
確認日はいずれも 2026-10-31 です。
- 北海道立総合研究機構 林産試験場「林産試だより」2004年12月号「Q&A 先月の技術相談から」(窓に結露が発生する条件):https://www.hro.or.jp/upload/50471/1041204.pdf
- 北海道立総合研究機構 建築研究本部「応急仮設住宅での暮らしを快適にするために NO.4 室内の窓のあたりの結露を減らすには」:https://www.hro.or.jp/upload/24377/181228_4.pdf
- 経済産業省 総合資源エネルギー調査会 建築材料等判断基準ワーキンググループ 板硝子協会の説明資料(窓仕様別の省エネシミュレーション結果の窓の熱貫流率):https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/shoene_shinene/sho_energy/kenchiku_zairyo/pdf/010_02_00.pdf
- 東京都保健医療局「健康・快適居住環境の指針」:https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/kankyo/kankyo_eisei/jukankyo/indoor/kenko/kenkai_bunyatosisin.html
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