作品の値付けの計算|材料費・時間・手数料・送料から赤字にならない値段を出す

作品の値付けの計算|材料費・時間・手数料・送料から赤字にならない値段を出す

ハンドメイド作品の値段を「材料費の3倍」のような目安で決めると、売り場の手数料や送料にかかる手数料、作るのにかかった時間が抜け落ちて、売れるほど赤字に近づくことがあります。

この記事では、材料費・梱包材・作業時間・売り場の手数料・送料をすべて入れて、「これより安くすると赤字になる値段」(最低価格)を計算する方法を、例を使って説明します。売り場の手数料は、以前の記事「ハンドメイド作品の売り場の手数料を比べる(minne・Creema・BASE・自分のサイト)」で2026年10月31日に公式ページで確認した料率を使います。

対象読者:ハンドメイド作品の値段の決め方に迷っている方、今の値段で利益が出ているか確かめたい方。

1. 値段に入れるお金

作品1つあたりにかかるもの

・材料費  :布・糸・金具など、作品1つに使う分
・梱包材  :袋・箱・緩衝材・ショップカードなど
・作業時間 :作る時間に、撮影・出品・発送の時間も含める
・時給   :自分の作業1時間にいくら払うか
・売り場の手数料:販売手数料・決済手数料(送料にもかかる)
・送料   :お客さまからもらう場合も、手数料がかかるかを確かめる

忘れやすいのは、作業時間と、送料にかかる手数料です。この記事で比べる4つの売り場はどれも、送料を含めた支払い金額に手数料がかかります(minne・Creema は、公式の表記に送料が含まれると明記されています)。

最低価格の式

送料を別にもらい、手数料が「作品価格+送料」にかかる売り場の場合、最低価格は次の式で出せます。

最低価格 =(材料費+梱包材+作業時間×時給+送料×手数料率+1件あたりの固定手数料)÷(1 − 手数料率)

手数料は値段に比例して増えるので、「かかるお金の合計+手数料」ではなく、「1 − 手数料率」で割る必要があります。ここを足し算で済ませると、手数料の分だけ足りなくなります。

2. 例:布のポーチを売る場合

条件

・材料費:800円、梱包材:100円
・作業時間:2時間(制作・撮影・出品・発送の合計)
・時給:1,200円
・送料:370円(お客さまから送料として別にもらう)
・かかるお金の合計:800 + 100 + 2 × 1,200 = 3,300円

売り場ごとの最低価格

売り場 手数料(2026年10月31日確認) 最低価格 そのときの手数料
minne 作品価格+送料の10.659% 3,738円 約438円
Creema 作品価格+送料の10.67% 3,739円 約438円
BASE スタンダード 3.6%+40円+サービス利用料3%(約6.6%+40円) 3,603円 約302円
自分のサイト(Stripe) 3.6%(送料を含む決済金額) 3,438円 約137円

※ minne の計算は「(3,300 + 370 × 0.10659)÷(1 − 0.10659)≒ 3,737.9円」で、1円未満は切り上げています。月ごとの振込手数料(220〜275円)や、自分のサイトのサーバー代は、作品1つあたりにすると小さいので入れていません。月の販売数が少ないと無視できなくなるので、その場合は「月の固定費 ÷ 月の販売数」を材料費に足してください。

確かめ算

minne で3,800円にしたときに残るお金を計算します。

送料   :お客さまからもらう370円をそのまま払うので、差し引き0円
手数料  :(3,800 + 370)× 10.659% ≒ 444円
手元に残る:3,800 − 444 − 800 − 100 = 2,456円
時給に直すと:2,456 ÷ 2時間 ≒ 1,228円

最低価格の3,738円より少し高いので、時給は1,200円をわずかに上回ります。これより安くすると、時給1,200円を下回ります。

3. 最低価格に上乗せしたいもの

最低価格は「赤字にならない値段」で、利益は入っていません。次のものを考えて上乗せします。

  • 失敗・ロス:裁ち損じや、撮影用・見本用に作る分
  • 売れ残り:作っても売れない作品の材料費
  • 道具・設備:ミシン・カメラ・プリンターなど、長く使うものの買い替え
  • 消費税:インボイスに登録している課税事業者なら、納める消費税の分

消費税を入れる場合

インボイスに登録していて、3割特例(2027・2028年分)を使う場合、お客さまから受け取る税込の金額(送料を含む)の「10/110 × 30%」が納める消費税の目安です。上の例に入れると、minne での最低価格は約3,868円になります。今年(2026年分)は2割特例の期間なので、「10/110 × 20%」で計算します。2割特例・3割特例については、別の記事「インボイスの2割特例は2026年分で終わり、2027年分からは3割特例に(小さな作り手の消費税)」にまとめています。

4. 値段を決めるときの注意点

時給を低く置きすぎない

時給を低くすると最低価格は下がりますが、作るほど疲れて続けられなくなります。最初は低めにしても、作業が慣れて時間が短くなったら見直す、と決めておくとよいでしょう。

似た作品の値段と比べる

計算した最低価格が、同じような作品の相場よりずっと高い場合は、値段ではなく次の点を見直します。

  • 作業時間を短くできないか(工程をまとめて作る、型紙を固定する)
  • 材料をまとめて買って単価を下げられないか
  • 手数料の低い売り場に移せないか

送料の決め方

送料を「送料無料(作品価格に含める)」にすると、minne・Creema では送料を別にした場合と手数料の合計は変わりませんが、作品価格が高く見えます。送料を別にするか含めるかは、手数料ではなく、お客さまからの見え方で決めてよいでしょう。BASE や自分のサイトでも同じ考え方です。

5. まとめ

  • 値段には、材料費・梱包材だけでなく、作業時間(撮影・出品・発送を含む)と売り場の手数料を入れる
  • 最低価格は「(かかるお金の合計+送料にかかる手数料+1件あたりの固定手数料)÷(1 − 手数料率)」で出す。足し算だけだと手数料の分が足りなくなる
  • 例(材料900円・作業2時間・時給1,200円・送料370円)では、minne・Creema で約3,740円、BASE で約3,600円、自分のサイトで約3,440円が最低価格
  • 最低価格には利益が入っていないので、失敗・売れ残り・道具代・消費税を考えて上乗せする
  • 相場より高くなるときは、値段を下げる前に、作業時間・材料の単価・売り場を見直す

アイキャッチ画像:Image by StockSnap from Pixabay